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短期的な利益と、長期的な利益

chincha.jpg

6月の大雨季に向けて、各サイトでは植林準備の真っ最中です。今年の植林予定地は、市内、郊外、山岳地帯と、広範囲に散らばっているため、計画的に一つ一つのサイトの整備を進めています。

さて、先日、今年の植林サイトのひとつである山岳地帯チンチャでの話し合いの際、近隣の村の村長さんによる熱いバトルが繰り広げられました。

「うちの村からは少なくとも、7人はだすっぺよ」

「そったらこと言ってもよ、うちの村のが村民が多いで、そういうわけにはいかんでしょうが」

「関係ねぇべさ。うちの○○はこないだ旦那を失くしてんだす」

「○○は別の仕事があんでねえか、それにうちの○○は、、、」

各村から出す労働者の人数についての争論です。各植林サイトの準備には、その地域から村、郡を通じて労働者を出してもらい、低所得者に対する雇用の創出を図っています。このチンチャ植林地は、チンチャ村、セラシエ村の中間にあるため、労働者はこの二つの村から出してもうことになっていました。

植林テラスの造成と穴掘りに約15名、その後の水遣り、ガードに通年で5名。これがこの植林サイトの定員です。村長さんはできる限り、自分の村の人間に、この仕事をあてがおうと必死です。周りの人間が体を張って諌めるほど激しい口論でした。おそらく、上の雰囲気での翻訳とはずいぶん違った、口汚さもあったんだとおもいます。それだけ、村のために懸命な二人でした。村長さんの責任感と、境を接する村同士の関係を垣間見た気がします。

*****

NGOの環境保全プロジェクトは、対象となる地域に対して長期的な利益と、短期的な利益をもたらします。長期的な利益とはプロジェクトの目的そのもの、森林再生、水源涵養、土壌流出の防止など時間のかかる目に見えない利益です。一方、短期的な利益とは直接雇用による現金収入です。正直なところ、経済的に貧しい村人たちが本心で求めているのは、圧倒的に後者の近い未来の個人的な利益です。

現在、ラリベラ市郊外の労働者日当の基準は約100円/一日に設定しています。もし一ヶ月休まず働いても3000円にしかなりません。もちろん彼らにとっては貴重な現金収入となりますが、農民たちの生活レベルを知っているので、この金額設定はいつも心苦しく思っています。しかしながら、別の団体の日当額との兼ね合いもある上、これ以上支払うと予算の面でプロジェクトが立ちいかなくなってうのです。

昨年までの植林のプロジェクトでは約200万円/年の予算で4万本の植林でした。それを向こう3年間は、3000万円/3年で150万本。以前の5倍の予算で、12.5倍の植林を行う計算になります。予算規模が増えたとはいえ、いままでとは比べ物にならないほど、厳しい予算管理が必要になってくるわけです。

農民たちの生活にどうかかわるのか。なかなか難しい面もありますが、自分は自分の仕事をすることにしています。NGOの駐在員は、地域のために働くのではなく、組織とプロジェクトのために働くべきだと思うんです。自分→地域ではなく、自分→プロジェクト→地域。プロジェクトの成功が最終的に地域のためになると信じて、心を鬼にしなければならないこともあるわけです。

そんなわけで、村長さんたちには申し訳ないですが、日当額も労働者の定員も、一切の譲歩はしません。それが僕の仕事です。

そして、その鬼と戦うのが村長の仕事です。
がんばれ、村長さん。

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フー太郎の森基金はエチオピアの世界遺産の町、ラリベラで活動する環境NGOです。ちょっと変わった団体名ですが、フー太郎とはフクロウの子供の名前なんです。
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岡野 鉄平について
現在5代目となるラリベラ事務所の駐在員です。鎌倉生まれ鎌倉育ちの、生粋の鎌倉人。趣味サーフィン、お祭り、ロッククライミング、温泉。1978年9月8日生まれ。

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