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ラリベラ便り 最終回

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-アフリカに吹く風-

アディスアベバのような都会に比べると、土の匂いの混ざったラリベラの風はとても心地がよいです。夕暮の木陰にふわりと吹き抜ける風に気づくと、ただそれだけで、何か幸せな気分にさせられます。もしかしたら、この風を素肌に感じられる事こそが、僕がここで過ごした40ヶ月の対価なのかもしれません。

「風」という自然の現象は、太陽が暖めた空気の不均一を埋めるために働く大気の流れのことです。つまり温かい空気と冷たい空気の温度差を無くす時に動く自然の力。それ僕らは「風」と呼んでいるわけです。そして同じように、豊かな地域から厳しい地域へ。恵まれた環境から恵まれない環境へ。余裕のある人から余裕のない人へ。そんな温度差を埋めるために何らかの力が働く時にも気持ちの良い風が吹くらしいのです。

今年の始めには、日本の東北地方からラリベラへ、ベガルタゴールドの風が軽やかに吹きわたりました。多くの方々の熱意と協力のおかげで実現したベガルタ仙台のサッカー教室。ラリベラのサッカー少年たちが今まで経験したことが無い程、カラフルで、印象深いイベントとなりました。そして、あの日、子供たちが全身に感じていた善意の風は、同時に日本各地にも吹いていたのではないでしょうか。僕らの現地での活動は支援をする側、支援をされる側という一方通行の開発援助ではなく、関わる人の全てが喜びを得ることのできるような支援スタイルを目指しています。今回のイベントはもちろん、僕らの活動を通じて日本の皆様も何かしらの喜びを感じて下さっているとしたら、とても嬉しく思います。

誰かの幸せを願うことで自分も幸せになれる。幸福の基準が曖昧になってきた現代の日本だからこそ、こういうシンプルな事が重要な意味を持ってきていると、僕は、信じています。

12年前に一人の女性と一羽のフクロウの出会いから始まったフー太郎のものがたり。僕はその一幕の登場人物として、本当に色々な経験をさせて頂きました。人生のほんの一時期でも、この場所でこの仕事が出来たことを誇りに思っています。これからもフー太郎の森基金が、ラリベラに気持ちの良い「風」を吹かす、大きな力になってくれることを、心から願っています。
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ラリベラ便り#12

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-種の冒険-

バンバの木がしっかり育っていることがうれしい。この木は無花果の一種で、学名を「フィカス ・シコモルス」といいます。日本語名は分かりません。いずれ数十メートルの大木になる素敵な木です。

バンバの苗木はラリベラ周辺では生産をしていないのですが、昨年たまたま別の苗木のポットから、ぴょっこり芽をだしているの見つけました。何かの拍子に、種が混ざったようです。何処から来た種かは分かりませんが、色々な偶然が重なって、今は生産地から遠く離れたラリベラにしっかり根を下ろしています。ちょっとした、ドラマを感じます。

さて、現在ラリベラ事務所は大規模な植林事業に取組んでいます。新たに整備した農園ではすべての苗木を種から育てました。あたりまえのことですが、森は種から始まります。普段の生活の中で目にする果物の種や木の実。特に意識をすることも無く食べたり、捨てたりしていますが、そんなごくありふれた一粒の種は、ちょっとその気になれば土の中で発芽して、根を張って、木になるんです。そして、それが沢山集まると森になるわけです。仕組みとして頭で理解していても、いつも僕はその事実に驚きます。だって、あんなに小さな粒がいずれ森になるんです。

もしかすると、僕たちの社会も同じような仕組みでできいるのかもしれません。例えば僕は、今まで多くのすばらしい人々や景色に出会って、何粒かのアクションの種をもらいました。アクションの種は、気付き。という言葉で言い換えられるかもしれません。その気付きは、最初はただの小さな粒でした。それが今、色々な試行錯誤を重ねた結果、エチオピアで芽を出し、ほんの微力ながらも、より良い未来を作るひとつの力になっています。

誰かからもらったり、誰かにあげたりしながら、一人一人があたりまえに持っている色々な種。それは一見なんでもないように見えても、本当に多くの可能性を秘めているようです。楽しいことや、嬉しいことを養分にしてその種を育ててみたら、きっと素敵なことが起こります。そして、その時に出てきた芽が、根を張って、木になって。それが沢山集まると、気持ちの良い、緑の未来が出来上がるんです。

全力で駆け抜けたエチオピアでの任期もいよいよ終わりが近づいてきました。僕がこの地で拾った何粒かの種は、次はどこで、どんな芽を出すのか。種の冒険は、まだまだ続きます。

またどこかで、皆様とお会いできる日を楽しみにしながら。

2010年度 植林報告

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今年の雨季は開始時期こそ遅れたものの、例年に無く雨量が多く、近年まれに見る良い雨季だったようです。この雨は僕らの大規模植林にとっても、力強い追い風になっています。

今年の植林目標数の50万本はFFFが過去12年間で植えた木の合計を軽く上回っていました。しかし、現地スタッフをはじめ、多くの村人の奮闘の甲斐もあり、例年のおよそ15倍の植林を行うことができています。

ざっとプロジェクトサイトを回ってみると、これだけ大規模な植林をしたにもかかわらず、どこもまずまずの状況。直営農園からの苗木の出荷なので、苗木を最適な状態のうちに植えることもできたのが大きかったみたいです。それに、村人への植林前研修もしっかりしてきたので、苗木の植え方も以前よりずっと丁寧になりました。

また、今年の植林でも、いくつか実験的な取り組みもしています。ティグライ州から運んできた果樹サボテンの移植。土と種を詰めた麻袋を山の斜面に置くサンドバック植林。ジンババという街路樹の移植。ヨーロピアンオリーブの挿し木栽培などなど。

今のスタッフたちの強みは、将来を見据えたアイディアを自発的に出し合えること。そのアイディアをアクションに移すスピードの速さ。そして、トライアルからのデータ収集を怠らないところにあります。

NGOの柔軟さと、開発援助のための専門的なアプローチ。いい意味でのプロ意識を持った専門家集団になってきたとなぁ、満足しています。今のスタッフたちであれば安心して次に引き渡すことができそうです。

ちょっと褒めすぎかな。
でも、今年はそれだけの仕事はしてくれました。

そして、本当の勝負はこれから。

これだけの本数の苗木を管理しながら、育てること。
スタッフたちの真価が問われるのはこれからです。

FFF植林地
アビセグ:29,251本
サルズナ:13,180本(再植林+1,050本)
メダゲ:66,756本
イムラハクリストス:60,332本
カンカニ:21,360本
ラリベラ小学校:6,028本
ゲテルゲ小学校:1,847本
ナクテラ小学校:650本
フラワーフォレスト:944本
聖ジョージ教会:3,536本
アバショア:3,339本
ゼイトウェラ:4,177本
デブラロザ:8,600本
カンカニ小学校:120本
苗木農園(3ヵ所):1,053本
地域主導植林:4,500本
直播:42,780本

苗木提供
個人:88,627本
ホテル、レストラン:45,673本
クラブ、アソシエーション:3,630本
政府:103,000本

合計510,383本(30樹種) 

※今後、各サイトで再植樹を行う為、最終的には+3000本くらいになる見込みです。

彼らにとっての空

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エチオピアでは、日々に漂う死のにおいが、日本よりもずっと濃いように思います。

死のにおい、といっても、ラリベラのような田舎では、それがとても自然で、決して嫌なものではありません。人々が、生まれ、暮らし、死にます。家畜を育て、殺し、食べます。大きな自然の流れの中、生と死が当たり前のものとして、呼吸する空気の中に含まれているのです。

しかし、アディスアベバのような都会では、状況がまったく違ってきます。都会で感じる死のにおいは、より酷薄で、人為的で、冷たいものです。

先日、路上で息の絶えた少年を見かけました。

数人の人だかりの真中に仰向けに横たわる、10歳くらいの少年。うつろに開いた目は青い空を見上げ、右手は何かをつかもうとしているように見えました。痩せた体に、ボロボロになったズボンとセーターをまとっています。

アディスアベバの路上で生活しているストリートチルドレンです。

路上に横たわる彼には、とくに怪我の跡もありませんでした。飢えで命を落としたのか、もしくは病気で亡くなったのか。理由はわかりません。ただ、目をそらすことの出来ない、惨い、死です。彼の目の中の虚空と同じ場所にある、アフリカの空を見上げ、最後は苦しんだのだろうか。と、ふと、思いました。

もちろん、苦しまなかったはずがありません。
最後だけではなく、生まれてから、ずっと、苦しかったに違いがありません。僕の想像が遠く及ばないほどに。

数年ほど前、僕の大切な友人の一人が、貧困を解消することは、人口爆発、食料危機、エネルギー問題をより深刻化させてしまう。経済の流れに逆行した行動だ、ということを言っていました。確かにそのとおりです。それに対しては、僕も目くじらを立てて異を唱えるつもりはありません。ただ、それはあくまでも、理論上の、そして、一部の先進国にとっての利己的な正論です。路上で息絶える少年を見ても、果たして同じことを言えるでしょうか。

途上国の路上では、こういう無慈悲な日常が繰り返されているんです。

s、i、変換。

キーボードを数回たたくだけで表現できてしまう「死」という言葉。この言葉とそれが指す現実の間には、絶望的なほどに距離があります。どんなメディアで、どんな表現で、この厳しい現実を伝えようとしても、情報は情報に過ぎず、言葉は言葉にとどまります。路上で息絶えた少年の死も、関わることがなければ、データとしてしか知りようがありません。だからこそ、情報の裏側にある現実、データの下にある日常を、もっと知ろうとしなければならないんだと思います。

こんな世界の現実に対し、今はもう、何が出来るかを考える段階ではありません。僕は自分のやり方で、やれることをやります。

Life is hard, my friend...
(友よ、人生は苦難に満ちている。)

以前スワジランドの友達から届いたメッセージが、再び頭の中をめぐります。

ラリベラ便り11

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―フルフル・ファリガロ―

何気なく朝食にフルフルを食べていて、3年の月日というものを改めて想いました。

フルフルとはインジェラの上にソースで和えたインジェラが載せてあるという革命的な伝統料理です。酸味の強いインジェラ(エチオピアの主食)は、外国人には苦手な人も多く、その味と見た目から「胃液」「雑巾」など、酷い形容を耳にする事さえある発酵食品。マンホールぐらいの大きさの、ぶ厚い灰色のクレープを想像してみて下さい。それがインジェラです。そして、そのインジェラを心行くまで堪能できる料理がフルフルなんです。

赴任した当初、僕もインジェラは苦手だったので、当然フルフルは「ありえない食べ物」に分類されていました。しかし、今では当たり前に朝からこれを食べています。むしろ、このフルフルはおいしい。このフルフルは辛さが足りない。など、味の評価ができるレベルにまで到達しています。どうやら、月日が人を変える、というのは真実のようです。食べ物ひとつとってもこんなだから、この駐在員生活で、自分自身大きく変わっているんだろうなぁ。と思います。確かに赴任前と比べると、胃腸の強さと忍耐力は飛躍的に伸びたものと思われます。

そして、その中でも、僕が自覚する最も大きな変化は、こだわらない事に慣れた事。その分、結果にこだわるようになった。という事かもしれません。こちらの仕事では今まで自分が持っていたこだわりや、信念や、個人的な感情は得てして不要な事が多いです。滅私奉公という、日本的な仕事観に基づいて、現地責任者としての職務に取り組んできました。

そして、自分の持っていたこだわりの中で、組織やプロジェクトに不要な部分を全部削ぎ落としてみると、最後に残ったのは「結果」に対するこだわりでした。とにかく結果がすべて。僕はそう思いながら、プロジェクトの管理運営をしています。もちろん僕の考える結果とは、カウンターパートやドナーが求める数字上、データ上の結果ではありません。結果として現実におこる事。実際に植えられる木や、教育を受けた子供が作る未来、人々の生活にプラスされるちょっとした余裕や笑顔。自分がここにいる結果として何が起きるか。そして何が残せるか。そんなことを大切にしています。

全力で駆け抜けた任期もいよいよ終わりが見えてきました。この先どんな環境で、どんな仕事をするにしても、結果に対するこだわりは、ずっと持ち続けていければ、と思います。

奇跡の木、モリンガ

moringa oliefera

今年からモリンガを導入しました。

学名「Moringa Oleifera」、アムハラ語名「Shiferaw」。

乾燥に強く厳しい土壌でも生育するモリンガは、エチオピアでは「奇跡の木」と呼ばれています。土中窒素を固定し土壌を改善する力がある上、葉は食用になり、種から絞った油はクリーンな機械油としても使うことが出来ます。その他にも、美容化粧品や、水質浄化剤など、実に様々な活用方のある、超多用途樹なのです。(興味のある方は、こちら 英語→http://moringaforlife.com 日本語→http://www.moringa.co.jp/)

今日はこのモリンガの葉を調理して、インジェラで食べてみました。味はくせの無いほうれん草といった感じ。歯ごたえもしゃきしゃきしていて、悪くないです。

モリンガの葉には、人間の体に必要な9種類のアミノ酸に加え、同じ重さのオレンジの7倍のビタミンC、牛乳の4倍のカルシウム、ほうれん草の3倍の鉄分などが含まれているそうです。この情報のすべてが事実だとしたら、かなり良い健康食品です。

ユーカリのような外来種では無く、エチオピアに元からあった樹種なので、生態系へ悪影響を与える危険はありません。今後このモリンガの可能性を探ってみたら、けっこう面白いんじゃないかなぁ、と思っています。

moringa wat

モリンガを食べるスタッフたち。左から2番目のテクラブラハンは、あまりにもモリンガについて熱く語るため、「モリンガさん」と、呼ばれるようになりました。

moringa wat2

うっかり食べ始めてから、写真を撮りました。インジェラもありだけど、スープなんかにしても、おいしくいただけるかも。

駐在員募集中です!

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フー太郎の森基金では、次期エチオピア駐在員の募集をしています。

1999年の創立以来、フー太郎の森基金はプロジェクトサイトであるラリベラに事務所を構え、村人とともに地域の環境保全に取り組んできました。現在はJICA草の根技術協力事業案件で、ラリベラ周辺地域に150万本の大規模植林事業を展開中です。その他にも、小学校での環境教育、衛生改善プログラム、学校校舎の建設、文化交流事業など、環境NGOというカテゴリーに収まることなく、地域に深く根ざした活動を続けています。

現地駐在員の仕事は、精神的にも、肉体的にも決して楽ではありませんが、地域の抱える問題に対して、問題点の抽出から、計画、実施、評価まで、一貫して携わることができるので、とてもやりがいのある仕事です。国際協力の経験のある方はもちろん、経験はなくとも、これから国際協力の世界に飛び込みたいという志のある方を歓迎します。

駐在員の募集にご興味のある方は、フー太郎の森基金日本事務局、もしくは現エチオピア駐在員の岡野(okanoteppei_fff@yahoo.co.jp)まで、お気軽にお問い合わせください。

植林のための穴掘り

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各サイトでの穴掘り労働者の賃金調整は、実に難航しました。

当初の計画では15ブル/50~70穴で話を進めており、地域との話し合いでは条件の同意を取り付けていました。しかし、あるサイトの農民たちが作業開始の直前になって条件への不満を訴え始めたのです。不思議なことに一つのサイトでこういう事が起こると、別のサイトでも連鎖的に同じ主張が広がっていきます。

雨季までそれほど時間的な余裕もありませんので、緊急で各郡・地域の管理者を集め、話し合い繰り返し、場所に応じて15ブル~18ブル/45~60穴と、ある程度の条件を改善をしました。紆余曲折の末、ようやく先週末にすべてのサイトで穴掘りが始まり、なんとか雨季に入る前には作業が完了できる見込みです。

さて、今回、賃金の交渉が難航した理由は、労働賃金の支払方法にあります。掘る穴の数が多いので、対費用効果を考え、日当ではなく出来高で支払いをすること決めていました。1人の農民が1日100穴以上掘る事は十分に可能です。仕事量に応じて支払いは変わりますが、平均して通常の日当よりも高い一人当たり20ブル以上の収入になるように計算していました。しっかり働いてもらって、その分の支払いをするのが狙いです。

ただ、日当で働くことに慣れている農民たちは、なかなかこの方式が受け入れられないようです。日当であれば、がんばっても、がんばらなくても、支払いは同じです。仕事が遅れればその分日当がもらえる期間が増えるわけです。実際に始めてみれば、彼らも短期間で日当よりもいい収入があるとわかるとは思うのですが、地域のつながりの強い場所なので、100人中2、3人でも反対をする人がいれば、なかなか同意にはいたらないわけです。

ちなみに、今年は来年への布石として、それほど重要でないサイトは予算立てから交渉までをフィールドスタッフたち任せてみました。失敗もありましたが、彼らにとってもいい経験になったと思います。来年度の植林は土地の確保から、労働者の調整まで、今年よりも難しくなると予想をしています。この経験は来年、確実に活きてくるはずです。

短期的な利益と、長期的な利益

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6月の大雨季に向けて、各サイトでは植林準備の真っ最中です。今年の植林予定地は、市内、郊外、山岳地帯と、広範囲に散らばっているため、計画的に一つ一つのサイトの整備を進めています。

さて、先日、今年の植林サイトのひとつである山岳地帯チンチャでの話し合いの際、近隣の村の村長さんによる熱いバトルが繰り広げられました。

「うちの村からは少なくとも、7人はだすっぺよ」

「そったらこと言ってもよ、うちの村のが村民が多いで、そういうわけにはいかんでしょうが」

「関係ねぇべさ。うちの○○はこないだ旦那を失くしてんだす」

「○○は別の仕事があんでねえか、それにうちの○○は、、、」

各村から出す労働者の人数についての争論です。各植林サイトの準備には、その地域から村、郡を通じて労働者を出してもらい、低所得者に対する雇用の創出を図っています。このチンチャ植林地は、チンチャ村、セラシエ村の中間にあるため、労働者はこの二つの村から出してもうことになっていました。

植林テラスの造成と穴掘りに約15名、その後の水遣り、ガードに通年で5名。これがこの植林サイトの定員です。村長さんはできる限り、自分の村の人間に、この仕事をあてがおうと必死です。周りの人間が体を張って諌めるほど激しい口論でした。おそらく、上の雰囲気での翻訳とはずいぶん違った、口汚さもあったんだとおもいます。それだけ、村のために懸命な二人でした。村長さんの責任感と、境を接する村同士の関係を垣間見た気がします。

*****

NGOの環境保全プロジェクトは、対象となる地域に対して長期的な利益と、短期的な利益をもたらします。長期的な利益とはプロジェクトの目的そのもの、森林再生、水源涵養、土壌流出の防止など時間のかかる目に見えない利益です。一方、短期的な利益とは直接雇用による現金収入です。正直なところ、経済的に貧しい村人たちが本心で求めているのは、圧倒的に後者の近い未来の個人的な利益です。

現在、ラリベラ市郊外の労働者日当の基準は約100円/一日に設定しています。もし一ヶ月休まず働いても3000円にしかなりません。もちろん彼らにとっては貴重な現金収入となりますが、農民たちの生活レベルを知っているので、この金額設定はいつも心苦しく思っています。しかしながら、別の団体の日当額との兼ね合いもある上、これ以上支払うと予算の面でプロジェクトが立ちいかなくなってうのです。

昨年までの植林のプロジェクトでは約200万円/年の予算で4万本の植林でした。それを向こう3年間は、3000万円/3年で150万本。以前の5倍の予算で、12.5倍の植林を行う計算になります。予算規模が増えたとはいえ、いままでとは比べ物にならないほど、厳しい予算管理が必要になってくるわけです。

農民たちの生活にどうかかわるのか。なかなか難しい面もありますが、自分は自分の仕事をすることにしています。NGOの駐在員は、地域のために働くのではなく、組織とプロジェクトのために働くべきだと思うんです。自分→地域ではなく、自分→プロジェクト→地域。プロジェクトの成功が最終的に地域のためになると信じて、心を鬼にしなければならないこともあるわけです。

そんなわけで、村長さんたちには申し訳ないですが、日当額も労働者の定員も、一切の譲歩はしません。それが僕の仕事です。

そして、その鬼と戦うのが村長の仕事です。
がんばれ、村長さん。

シマノの苗木は順調に育っています。

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先日、シマノ農園の農夫たちが、FFFのスタッフを昼食に招いてくれました。

昨年末から短期間で整備進めてきたシマノ農園ですが、今月に入ってようやく作業もひと段落。軌道に乗り始めました。ごろごろと転がっている石や岩を、牛と人の手ですべて取り除き、水場を整備し、小屋を作り、60本の苗床を準備しました。厳しい作業が続いていましたが、そんな毎日の重労働からも開放され、ようやく一息ついたところです。

そこで彼らは、少しずつお金を出し合ってヤギを買い、みんなで宴を開くつもりだったようです。そして、それならばFFFの皆さんを呼ばなければ。という事で僕たちに声を掛けてくれました。スタッフたちも少しずつお金を出し合って、油や葱などの素材を買いました(実はこっちの方がヤギよりも高いのですが)。

数ヶ月前には、ただの荒地だったこの場所で、すくすく育つ苗木。
それを見ながら、頂くランチは、また格別でした。
味はさておき、格別でした。

新規スタッフ採用試験/2月

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個人的に、もうひとつブログを書いているのですが、そっちのブログで好評だった、新規職員の面接試験についての記事をアップしました。少々長い文章ですが、なんともエチオピアらしい面接試験の様子を紹介いたします。

<森林専門家採用試験>

今日は、森林専門家の採用試験を行いました。

期日までに約20名の応募があり、そのうち12名に筆記試験、面接試験に進んでもらいました。高いレベルで仕事のできる専門家が必要なので、採用の基準を比較的高めに設定し、筆記試験はアディス大学の森林学部教授に作成してもらっています。

NGOの仕事は魅力的なので、みんな必死でがんばっていました。
僕も、できるだけ優秀な人材を確保しようと、必死でがんばっていました。

ところが、筆記試験でも、面接試験でも、意外な珍回答の連続。
ちょっと面白かったので、いくつか紹介しておきます。

*****

筆記試験

Q..「植栽計画を作成するにあたり、実施地域から必要な情報を収集するための手段を3つ挙げよ。」

A..紙を準備する。ペンを準備する。バイクに乗る。

**

Q.「1000haの土地に2m間隔で、アカシアの植林をする予定である。アカシアは1キロ当たり10,000個の種が含まれており、発芽率は90%、種の純度は72%である。この計画で準備する種の量は?」(答えは386kg)

A..1,000,000,000kg
A..0.0457kg~0.0512kg

*****

面接試験

「あなたの長所と欠点を教えてください。」

「本を読むことです。」


「いや、そうでなくては、あなたの専門家としての長所です。」

「あっ、なるほど。歴史的建造物を見ることです。」

**

「プロジェクトの中で、あなたの専門性をどのように活かしていきたいですか?」

「農民たちに、環境保全の大切さを伝えます。」

「どのように?」

「正しい木の植え方を教えます。そして、むしろ、正しい木の植え方を教えます。」

**

「バイクの運転はできますか?」

「完璧です。」

「ほう、で、運転歴はどのくらい?」

「今は練習中です。」

**

「あなたの長所と欠点を教えてください。」

「長所は、何に対しても批判的なところです。欠点は、ありません。」

**

「提出してもらった小論文の中の「降雨量」や「人口推移」などの数値データは、どのようにして入手しましたか?」

「友達に聞きました」

**

「あなたの長所と欠点を教えてください」

「長所は、FFFに学費補助をしてもらいたいと思っていることです。」

「??、では、欠点は。」

「欠点は、お金がないことです。」

*****

本来であれば、こんな回答にはユーモアポイントを10点ほどあげたいところです。けど、残念ながら、ここで紹介した人々は当然、全員不採用。


<会計士採用試験>

会計士のは数字を扱うポジションということもあり、森林専門家の採用試験のときと比べると、ややロジカルで真面目なタイプの応募者が多かったように思います。筆記試験でも、面接試験でも、期待していたほど面白い回答はありませんでした。採用する側としては、これは喜ばしい、というか当然のことなのですが、個人的にはちょっと残念です。

たとえば、前回の面接試験では「長所と短所」を聞いたときにユニークな回答が多かったので、とりあえず同じ質問をしてみしました。

「あなたの長所と短所を教えてください。」

すると何故だか今回も、「本を読むことです。」と言い切る人がいました。一瞬、おっ、と思いましたが、ここからが前回とは違っています。

「それは趣味です。長所を教えてください。」と指摘したところ、

「本を読むことは趣味でもありますが、同時に、本を書いた人の感性を尊敬し、理解できる感受性が私のセールスポイントです。」と、返されました。

なるほど。さすが会計士です。ミスを無理やり修正してきました。

そんなわけで、採用試験で面白い回答を期待してはいけないのだと、今日になってようやく気づきました。採用試験は大喜利ではありません。採用する側も、受験者と同じように、真面目に、真摯に、試験に望まなければならないのです。自分の不真面目な期待を、すこしだけ反省しました。


<運転手採用試験>

金曜日、土曜日の2日間で運転手の採用試験を行いました。

書類選考をパスした11名に第一次の筆記・面接試験を受けてもらい、そのうち5名に翌日の実技試験に進んでもらいました。

今回の募集では高卒以上を条件としていましたが、「英語」と「経験」だけは中級以上としています。その割には、面接試験では、コミュニケーションに苦労する応募者がとても多かったです。中には、腕にびっしりメモを書いて、それを読み上げるだけの人もいました。(それを隠そうとしない堂々とした姿勢には好感が持てましたが。)面白い回答とまでは行きませんが、不思議な回答が多かったので、いちおう。

**

「あなたの長所と短所を教えてください?」

「なんで?」

**

「あなたの長所と短所を教えてください?」

「えー、私はラリベラ生まれ、ラリベラ育ちの23歳、未婚です。現在ラリベラ市の水道局に勤めており、趣味は読書です。今回、貴団体の募集広告を拝見し、応募をさせて頂いた次第です。ラリベラの緑化に取り組むFFFの活動に大変興味を持っています。運転歴に関しましては、、、、」

**

「あなたの長所と短所を教えてください?」

「わかりません。」

**

「国際NGOで働く運転手にとって、一番大切な資質は何だと思いますか?」

「ないと思います。」

**

「国際NGOで働く運転手にとって、一番大切な資質は何だと思いますか?」

「洗車です。」

**

「安全運転の為に特に気をつけることは何ですか?」

「お酒を飲まないことです。」

**

「安全運転の為に特に気をつけることは何ですか?」

「まず政府発行の免許証を取得することです。」

**

「安全運転の為に特に気をつけることは何ですか?」

「洗車です。」

**

「最後に今まで訊ねた質問以外で自己アピールがあれば、どうぞ。」

「えー、私はまず車を運転する前に、エンジンの状態を確認し、タイヤ、ラジエータ、エンジンオイルのチェックをします。座席に座ったら椅子の位置を調整し、ミラーの角度を確認します。その後シートベルトを締め、、、」

**

「最後に今まで訊ねた質問以外で自己アピールがあれば、どうぞ。」

「履歴書を読んでください。」

まぁ、何はともあれ、採用試験はすべて終わり、会計士、運転手、両方のポジションで内定者を決定しました。2月1日から雇用が出来るように早速条件の交渉、確認を行い、雇用契約書を作ろうかと考えています。

ちなみに前回の会計士の筆記試験はメリー大学の教授に、運転手の筆記試験はアディスアベバの運転免許試験場の職員、実技試験はラリベラの専門学校の講師にお願いました。

ラリベラ便り#10

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―森の落し物―

「オーフータロ!」資材調達の出張でアディスアベバから戻る道すがら、車の後部座席に座っていたテクレが叫びました。

指差す方向に目をやると、数人の子供たちが集まって、なにやら茶色い塊をこちらに掲げています。その茶色をよく見てみると、それは足を捕まれ、逆さまにされたフクロウでした。こちらの人々は、フクロウの肉を薬として用いるらしく、子供たちは道行く車に捕まえたフクロウを売ろうとしていたようです。

今僕らが働いている「フー太郎の森基金」は一羽のフクロウ「フー太郎」と一人の日本人女性の出会いから始まったNGO、フクロウはいわばFFFのシンボルです。当然これは捨て置けません。子供たちには小額のお金を渡し、このフクロウを引き取ることにしました。しかし、力なく抵抗を試みるこの鳥の翼には、骨がむき出しになるほどの大きな傷があり、可哀そうだけれど、ラリベラに戻る間にも死んでしまうだろうと思いました。そうしたら、僕らの農園があるシュムシャハ村の大樹の下に植えてあげよう、と。

それでも、このフクロウは一時間ほどの悪路移動に耐え、事務所に戻ってからもかろうじて息はしています。ぐったりしていて、ほとんど動かないけど、とにかくまだ生きています。とりあえず翼の怪我を消毒して、暗い場所に寝かせておきました。翌日にはスタッフに頼んで獣医さんにの所に連れて行きましたが、ラリベラには家畜以外の動物の面倒をみるような奇特な人間はいないため、結局、単に消毒をしてもらうことしか出来ませんでした。

ところで、生きているとなると、この鳥、どうやって面倒を見れはよいのかがさっぱり見当がつきません。ひとまず「フクロウ」を辞書で調べてみることにしました。すると、この鳥はどうやら「フクロウ目フクロウ科ミミズク(Horned Owl)」だということがわかりました。ミミズクは小鳥やねずみを捕食する夜行性の肉食鳥なので、どこかで肉を調達する必要があるようです。しかし、タイミングの悪いことに、今エチオピアは断食の期間中。なかなか生肉は手に入りません。仕方がないので、以前、大使館の方に分けて頂いた、なけなしのコンビーフの缶詰を開け、少しづつ食べさせています。最初はまったく食べなかったけど、無理やり食べさせているうちに自分から食べてくれるようになって来ました。今では、近くにく置いておくと、僕の見ていないところでこっそり食べているようです。

翼を動かすことも出来ないみたいだし、まだまだ予断を許さない状態ですが、このところ、僕が近づくとシャーッ、シャーッと威嚇をしてきます。少し元気になってきた証拠かな。

現地スタッフや事務所に来る人々は、このミミズクを「フータロ、フータロ」と呼んでいますが、ミミズクはヴォッ、ヴォッと鳴くそうなので、どちらかといえばヴォー太郎です。そして、怒っているときはシャー太郎です。

*****

もし回復したとしても、この鳥は、もう空を飛ぶことは出来ないと思います。それでも。

がんばって、生きろ。ヴォー太郎。

*****
1st day
保護した日の写真。この時から比べると、奇跡的な回復ぶりです。

ラリベラ便り#9

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―水があるということ―

水がないと何ができないか。
日本にいる間には考えもしなかったことですが、今ラリベラで生活をしていて、水の大切さを頭ではなく、体験として理解することが出来ました。

もちろん、水は人間にとって、生きていく上で欠かせない要素。
水分がなければ、人間は生きていくことが出来ません。

それに加えて、「手が洗えないこと」が、実は、とても大きな問題なんだということに気づきました。

ラリベラでは、人びとは家畜とともに生きています。ウシや山羊と同じ屋根の下で暮らしている人も少なくありません(家畜小屋と住居が一緒なんです)。あまり洗濯をすることもできないので、人びとの衣服も、元の色がわからないくらいに深い色合いになっています。その上、トイレを持たない家庭が殆どのため、村全体がひとつの大きなトイレといえるほど、人びとはどこでも用を足してしまいます。以前、3歳くらいの子供が、人間の排泄物をこねて遊んでいるのを目にして衝撃をうけたこともあります。

さらに、こちらの人びとの鼻や耳のほじり方は非常にオープンなスタイルで、腕や足を掻くのと同じくらいのライトな感覚で行われています。そして、その手で、食事をし、握手をし、また鼻をほじります。

潔癖症の人がここにいたら、トラウマ(精神的外傷)によって新たな人格を生み出してしまうのではないか、と心配になるほど、エクストリームな衛生環境なんです。

そんな衛生環境のなかで、エチオピアでは、カルチャー的に、人びとは誰かと会えば必ず握手をします。手を洗えない手での握手。つまり、常に汚れや細菌すらもシェアしている状態なわけです。実際、これは、すごく危険なことです。エチオピアの主食のインジェラは手で食べるので、手を洗わなければ、その汚れをそのまま体内に取り込んでしまうことになります。目を掻いただけで、雑多な細菌が目に入るリスクにさらされています。

少し話が飛びますが、今年一時帰国をしたときに、僕は2年前に赴任してからずっと悩まされていた手の平の皮膚炎を見てもらうために、地元の皮膚科に行きました。そこで医師から言われたのは、「手を不潔にしていることが原因」ということでした。そして真っ先に思い当たったのが、やはり村人との握手です。そういわれてみると、炎症が一番ひどいところは、握手をしたときにちょうど相手の指先が触れる部分です。なるほど。

握手をして皮膚炎を起こすほどの細菌を体内に取り込めば、なにかしらの病気にかかってしまうのは当然のことです。実際に、エチオピアには体の一部が動かない人や、目の見えない人がかなり多くいます。このすべてが、水が原因とは思いませんが、大きな原因であることは間違いないと思います。

生きるための水に比べると、どうしても優先順位の低くなってしまう、手洗いですが、疾患リスクを考えると、決して軽視できないこと。今後、僕達の衛生プログラムや、小学校での衛生教育のなかで、こうしたリスクについても取り組んでいければと思います。

++++++

日本でもいまだにインフルエンザが猛威を振るっていると聞きました。
皆様も、うがい手洗いを忘れずに!

環境コンテスト

毎年ラリベラの3つの小学校で、環境コンテストという催し物をしています。

子供たちに「環境」をテーマにした絵、作文、詩を書いてもらい、いい感じの作品にはちょっとしたプレゼントをあげて います。
審査員は各学校の先生たちなので、毎年同じような作品が選ばれていますが、それでも子供たちの絵は 見ていてなかなか面白いです。今年の優秀作品を幾つか紹介します。



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木は大切な資源。燃料や建築材の為に木を切っても、切った分を植えることで森を戻すことが出来るかもしれません 。切る、植える、育てるのバランスをうまく保てば、緑の森をサスティナブルに活用できます。いつか、ラリベラでもこんな 風景が見られることを願います。(ラリベラ小)


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木を切って、森がなくなると、動物の住処がなくなってしまう。という絵。エチオピアでも珍しいニャラ(鹿の一種)、 レッドフォックス、猿が描かれています。先生たちが選ぶ今年の最優秀作品です。(ラリベラ小)


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これはなかなか強烈。森林伐採で土地が枯れ、人々が餓えに苦しんでいる絵です。痩せこけた動物や倒壊しかけの 家もよく描かれています。右下の人は、お腹が空きすぎて、体がラスタカラーになってしまっています。エチオピアでは現実にこんなことが起こっていた地域もあります。(ラリベラ小)


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環境に対するメッセージは感じませんが、どことなくカレル・ゼマンを思い出させるような、ノスタルジックな雰囲気があ ります。数十年前、ラリベラにまだ森があった頃には、ここにもライオンが住んでいたそうです。いつかこの場所にもライ オンが戻ってくると嬉しいです。(カッチンマスク小)


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これもとくにメッセージ性はありませんが、色使いに センスを感じます。左上の人の帽子がとてもクール。個人的にこの子の絵がすごく好きです。ボールペンと鉛筆と青の色 鉛筆をうまく使っいこなしています。それにしても鶏がでかい。(カッチンマスク小)

*****

ちなみに作文と詩はアムハラ語なので、さっぱりわかりませんでした。

謹賀新年

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昨年中は、大変お世話になり、ありがとうございました。
現地活動11年目となる本年は、大規模な植林プロジェクトも開始し、ラリベラ事務所にとっても新たな挑戦の年になりそうです。僕自身も駐在生活締めくくりの年となりますので、今までの集大成となるような、良い活動をしてまいりたいと思っております。本年も昨年同様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

スタッフ一同、皆様のご多幸とご健勝をアフリカの大地よりお祈り申し上げております。

seeds.jpg

アカシア、オリーブ、ネズ、ジャカランダ、ジェトロハなど、11種類の種をアディスアベバで調達してきました。

これに加え、ラリベラでも手に入る、コショウ、コルディア、グラビリア、各種フルーツ、コーヒーを併せた、合計で20種類ほどの苗木を育てる計画です。

この写真に写っている種だけで、合計100万粒ほどになります。発芽率は種によってそれぞれ違いますが、数年後には数十万本の木になる予定の種たちです。


この小さな種が、森になる。
その森が、また種を生む。

このワッカ。
当たり前のことだけど、すごいことです。

苗木づくり準備中です

shimano nursery field
今年は、ラリベラ近郊の3ヶ所に苗木の生産拠点を置く計画です。一箇所は既存の苗圃、2箇所は新規で造成します。このうち、既存のカンカニ苗圃では、すでに苗床の整備と種まきが済んでおり、労働賃の調整以外、特に問題もなく、順調に進んでいます。

しかし、新規苗圃のうち、シムシャハ苗圃は土地の利用をめぐって、地域住人の中で諍いが起きています。先月すでに土地利用の契約の90%が済んでいましたが、現在では完全に作業が止まっています。地域の関係部署との打ち合わせを重ね、何とか作業を進められるように努めていますが、まだ、打開のめどが立っていません。地域住人同士の諍いというのは、一番厄介なトラブルです。

そのため現在、整備に力を注いでいるのが、ラリベラからバイクで10分ほどのところにある、シマノ苗圃です。この場所はとにかく石が多く、耕しても耕しても石ばかりが出てきます。厳しい日差しの中、人も牛も重労働を強いられていますが、それでも、現地スタッフの奮闘の甲斐もあり、明後日には、ようやく種を撒くことができそうです。

このシマノ苗圃は事務所からもそう遠くないので、今後ドナーの方々がラリベラにいらした際には、ご案内する機会も多くなると思います。FFFの活動のモデルとなるような「美しい農園」を目指します。

契約関係はひと段落

cert CSA

先ほど、FFFラリベラ事務所にて、JICA、ZONE間の契約締結が完了しました。

今回のプロジェクトは、JICAからFFFへの委託という形での事業運営なので「JICA、FFF間の契約」、「FFF、現地政府間の契約」、「JICA、現地政府間の契約」の3つの契約が必要になります。先の2つは既に締結済みだったので、これで、今日すべての契約が完了しました。

また、CS法施行後、ずっと気を揉んできた、NGOライセンスの再登録も昨日無事完了しました。

エチオピアで活動するNGOには、政府が定めたさまざまな規則があるのですが、今年に入ってから、その規則に大幅な改定が加えられ、CS法(Charities and Societies Proclamation)として施行されました。これに伴い、すべてのNGOがライセンスの再登録を義務づけられています。6月から要綱を確認し、10月からはかなりの重量の書類を提出してきました。それがようやく昨日終わりました。

いや、長かったです。

事業地の選定中です

bilbala.jpg
今日は、ラリベラの司法局で土地利用の契約を締結してきました。
ラリベラの空港そばのシュムシャハという場所にある、1/4ヘクタールほどの農園用地です。

先々週からの約半月は新規プロジェクトのサイトセレクションに奔走しています。

先週までは、福島県の灌漑専門家本田氏ご夫妻、FFF代表の新妻とともに、ラリベラ市、ラスタ郡の植林候補地を探して回ってきました。今回のプロジェクトでは、まず土地の確保が最大の焦点だと思っていましたが、予想通り、そう簡単にはいきません。

最終目標である150万本の木を植えるためには、ラリベラでは約600ヘクタールの土地が必要になります。1ヘクタールが10000㎡なので、約6K㎡。東京ドーム130個分です。

しかし、水へのアクセスが可能な場所で、農業や、放牧に使われていない、肥沃で広大な土地。
など、そうあるものではありません。

今回植林用に確保が出そうな場所は、7箇所。
ラスタ郡にブルバラ、アビセグ、カンカニ。
ラリベ市にツェディ、チンチャ、メダゲ、アシェエテン。

農園用地は4箇所。
シュムシャハ、アビセグ、カンカニ、サルズナ。

このうちで、水の確保が容易なのはほんの数箇所、そしてすべての場所は砂と岩が混ざったような貧弱な土質です。
どこも非常に厳しい場所ですが、目標達成のためにはある程度無理を覚悟でやるしかないようです。

予算的には今までの4倍で、規模的には10倍以上。
3年間で5000万円のプロジェクトとはいえ、今まで以上に、厳しい予算管理、効率的なシステム作りが必要がありそうです。

グリーンキャンペーン2009

planting

2008年から試験的に導入したグリーンキャンペーン。今年はこれをさらにアップグレードしています。

これは、地域住民に苗木を無料で配布し、規定の高さまで育てたら小額の報奨金を支払うというものです。オーナーシップ意識を持たせた植林手法を導入することで、地域の自発的な植林、育林による長期的な成果も期待しています。

昨年度実施分では、配布苗木6,460本に対し、1,346ブルの支払いを行いました。1本に対し、1ブル(7円)の報奨金なので、そのまま1,346本が活着したことになります。予想を下回る結果となりましたが、雨季が遅れたことによる水不足と、定期的なフォローアップが難しく、参加者の意識が低下したことが理由として考えられます。また、苗木の配布を住民の希望に沿って行い、その地域にあった樹種の提供をしてこなかったことも、課題としてあげられます。しかし、このようなパイロットプログラム、初年度にいい結果が出なくて、かえって良かったと思っています。

さて、本年度はそうした反省点を生かしつつ、さらに対象地域を増やし、ラリベラ市内の5つのカバレから、それぞれ20名ずつの参加者を募りました。現地政府の農業局と連携を強化し、各カバレに配置されている農業専門家に、参加者の管理業務を依頼しています。また、参加者の植林予定地域にあった苗木を配布し、植林方法の指導も同時に行いました。

雨季の始まった7月には100名の参加者に対し5000本の苗木の配布を行い、定期的な農業専門家のフォローアップに加え、各地で講習会を開いています。2009年度グリーンキャンペーンは50%以上の活着率を目指します。

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Okano Teppei

Author:Okano Teppei
フー太郎の森基金について
フー太郎の森基金はエチオピアの世界遺産の町、ラリベラで活動する環境NGOです。ちょっと変わった団体名ですが、フー太郎とはフクロウの子供の名前なんです。
フー太郎の森づくりに興味のある方は、是非お気軽にご連絡下さい!


岡野 鉄平について
現在5代目となるラリベラ事務所の駐在員です。鎌倉生まれ鎌倉育ちの、生粋の鎌倉人。趣味サーフィン、お祭り、ロッククライミング、温泉。1978年9月8日生まれ。

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